
国が維持すべき詳細な最低基準が規定されている。従って、条約付属書のある規則の全容を理解するためには、関連するコードの規定についても目を通しておく必要がある。 これらのコードの規定に付けられているセクション(SECTION)の番号は付属書の規則の番号に対応して付けられており、相互に参照する場合に便利な形になっている。例えば付属書の?T/2規則「証明書と裏書」は、関連する強制規定がコードのセクションA−?T/2に、また勧告指針がセクションB−?T/2に記載されている。 改正条約では能力評価において、知識と同様に実技能力を重視する方針であるため、コードの必要なセクションには、FUNCTIONや責任のLEVELに応じた具体的な「能力基準」が表(TA肌E)の形で記載されている。これらの表の第1欄には「任務、職務及び責任を遂行する能力の種類」が、第2欄には「資格証明に求められる知識、理解及び技能の項目」が、また、第3欄と第4欄には「能力を実証する方法」と「能力評価の基準」が規定されている。 次に、PART Bは強制ではないが、この条約が統一された形で効果的に実施されるように、各締約国を援助するための勧告指針であり、その目的を達成するために最大限に考慮されなければならないとされている。 5. 改正条約の特徴
第一に、条約の遵守・検証にっいての規定が強化されたことである。具体的には、?T/4規則のPORTSTATE CONTROLの規定において、主管庁の定める「安全配員証書」と実際の乗組員の数及び資格の一致が監督の対象に加えられ、「人命、財産及び環境に危険を及ぼすような方法で船を運航する」ことが、監督官によって船員の能力評価が行われる明白な根拠となり、また「船員の抑留」が行われる条件が拡大するなど、規制の強化が図られた。 また、?T/5規則として締約国が、条約を遵守していない自国の船舶や船員に対し、或いは無資格船員を雇用したり、必要な資格を持たない者に仕事を行わせた会社や船長に対し、罰金や懲戒の方法を国内法に制定するよう求める規定が設けられた。 ?T/7規則は従来から条約本文第4条に規定されている、締約国により条約が実行されるためとられた手段についての「情報の送付」に加えて、STCWコードで要求されるその他の情報を、定められた期間内にlMOの事務局長あてに送付しなければならないという新しい規則で、受け取った情報は各国の推薦を受けて登録されたCONPETENTPERSON(有識者)により構成される委員会によってその情報の内容がチェックされ、条約に適合していると判断されれば、事務局長により認定を求めるため海上安全委員会に送付されるというものである。締約国はこの認定を受けてはじめて条約を遵守している国として、自国の発給する資格証明書が認識されるということになる。
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